白川方明元総裁が語る日本の金融政策の過ちと未来への提言:インフレ、バブル崩壊、そして今
2025-06-26

日本経済新聞
終戦から80年の金融政策:白川方明元総裁が振り返る失敗と教訓
終戦から80年という長い年月の中で、日本の金融政策は幾多の成功と失敗を経験してきました。1970年代の高インフレ、1980年代の不動産バブルなど、その歴史は常に経済の変動と密接に結びついています。日本銀行元総裁を務めた白川方明氏は、これらの経験を振り返り、日本のマクロ経済政策における大きな課題を指摘します。
1970年代の「狂乱」と高インフレ
白川元総裁は、1970年代の状況を「狂乱」と表現し、その原因を金融緩和から金融引き締めへの転換の遅れにあると分析しています。オイルショックなどの外的要因も影響しましたが、適切なタイミングで政策転換が行われていれば、高インフレを抑制できた可能性があったと述べています。
1980年代の不動産バブルと崩壊
1980年代には、低金利政策が不動産バブルを助長し、その後の崩壊は日本経済に深刻な打撃を与えました。白川元総裁は、このバブル崩壊を「国全体としてマクロ経済の大きな見立ての失敗」と振り返り、バブルの兆候を早期に認識し、適切な対応を取ることが重要であったと強調しています。
2008年以降の金融政策と今後の課題
2008年のリーマンショック以降、日本銀行は大規模な金融緩和政策を実施してきました。しかし、デフレからの脱却は依然として難しく、持続的な経済成長を達成できていません。白川元総裁は、今後の課題として、金融政策だけでなく、財政政策や構造改革との連携を強化し、総合的な経済対策を講じる必要性を指摘しています。
未来への提言:持続可能な経済成長のために
白川元総裁は、日本の経済が持続可能な成長を達成するためには、以下の点が重要であると提言しています。
- マクロ経済の大きな見立てを常に検証し、変化に柔軟に対応すること
- 金融政策、財政政策、構造改革を一体的に推進すること
- グローバルな視点を持ち、国際社会との連携を強化すること
日本の金融政策の歴史から得られる教訓は、未来の経済政策を考える上で非常に重要です。白川元総裁の提言は、日本経済の持続的な成長に向けて、私たちに示唆に富むものです。