暗号資産犯罪に歯止めか? FATFが各国に強力な対策を要求 - 世界経済への影響も警戒

2025-06-27
暗号資産犯罪に歯止めか? FATFが各国に強力な対策を要求 - 世界経済への影響も警戒
ロイター

金融犯罪対策の国際的な監視機関である金融活動作業部会(FATF)は、暗号資産(仮想通貨)を巡る金融犯罪のリスクが高まっているとして、各国に対し、より一層強力な対策を講じるよう強く呼びかけました。規制の不備やギャップが世界経済に深刻な影響を及ぼす可能性があると警告しており、国際的な連携強化が急務となっています。

暗号資産は、その匿名性や国境を越えた取引の容易さから、マネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪に悪用されるケースが多発しています。FATFは、こうした犯罪を防止するため、暗号資産関連事業者に対する規制の強化や、情報共有の促進などを求めています。

世界的な規制の遅れとFATFの懸念

現在、多くの国で暗号資産に対する規制はまだ整備途上であり、国によって規制の内容も大きく異なります。この規制のギャップが、犯罪者にとって暗号資産を悪用する温床となっているとFATFは指摘しています。例えば、ある国では厳格な規制が敷かれている一方で、別の国ではほとんど規制がない場合、犯罪者は規制の緩い国に拠点を移し、暗号資産を利用した犯罪を繰り返すことが可能になります。

FATFが求める具体的な対策

FATFは、各国に対し、以下の具体的な対策を求めています。

  • 暗号資産交換業者(仮想通貨取引所)や、暗号資産を活用した送金サービス事業者など、暗号資産関連事業者に対する登録制や本人確認(KYC)義務の導入
  • 暗号資産取引に関する疑わしい取引の検知・報告義務の強化
  • 暗号資産関連の犯罪捜査における国際的な情報共有の促進
  • 暗号資産を悪用した犯罪に対する効果的な制裁措置の実施

今後の展望:国際的な連携と規制の調和

暗号資産を巡る金融犯罪への対策は、一朝一夕に解決できるものではありません。各国が協力し、規制の調和を図りながら、継続的な努力が必要です。FATFは、今後も暗号資産関連の規制強化を推進するとともに、加盟国への技術支援や能力開発支援を通じて、各国が効果的な対策を講じることを支援していきます。

暗号資産は、革新的な技術を活用した新しい金融サービスとして、大きな可能性を秘めています。しかし、その一方で、金融犯罪のリスクも抱えています。暗号資産の健全な発展のためには、リスク管理と犯罪防止の両立が不可欠です。FATFの呼びかけは、暗号資産市場の健全性を維持し、世界経済の安定に貢献するための重要な一歩となるでしょう。

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