「祖国は台湾、母国は日本」横浜に戦没台湾人慰霊碑建立 - 3万3千人超の犠牲者を追悼
2025-05-15
カナロコ
かつて日本軍に志願入隊し、祖国のために命を捧げた台湾出身者たち。横浜市磯子区の真照寺に、約3万3千人の戦没者を慰霊する慰霊碑が建立されました。
この慰霊碑の建立は、横浜台湾同郷会名誉顧問の呉正男さん(97歳)の長年の願いが叶ったものです。呉さんは旧陸軍に志願入隊し、戦地で多くの苦難を経験しました。戦後、横浜で平穏な生活を送る中で、故郷の台湾出身の戦没者たちを追悼する場所がないことを痛感し、建立を強く望んでいました。
真照寺の住職、水谷栄寛さん(69歳)は、呉さんの熱意に共感し、建立の準備を進めてきました。地域住民や台湾同郷会の協力を得ながら、数年をかけて慰霊碑の建設を実現しました。
慰霊碑には、戦没者たちの氏名や功績が刻まれています。また、呉さんの揮毫による「祖国は台湾、母国は日本」という言葉も刻まれ、彼らの複雑な思いを象徴しています。
呉さんは慰霊碑の完成を見て、「僕らは日本人として出征した。それを忘れず追悼する場ができ本当にありがたい」と涙を流しました。この慰霊碑は、台湾出身の戦没者たちを追悼するだけでなく、異なる国籍を持つ人々の犠牲と、その後の和解の物語を伝える貴重な場所となるでしょう。
慰霊碑は、横浜市磯子区の真照寺にあります。訪れる際は、静粛な気持ちで、犠牲者とそのご遺族に思いをいたしましょう。
横浜台湾同郷会は、横浜在住の台湾出身者やその子孫のための団体です。台湾の文化や伝統を継承し、地域社会との交流を深める活動を行っています。詳細は同会にお問い合わせください。