賃上げは加速する?日銀内田副総裁が示す日本の労働市場と金融政策の行方

2025-07-23
賃上げは加速する?日銀内田副総裁が示す日本の労働市場と金融政策の行方
日本経済新聞

日銀内田真一副総裁は23日、高知市で開催された金融経済懇談会において、日本の賃上げ動向と金融政策の展望について講演しました。特に、米国との関税交渉が一定程度進展することを前提に、今後の日本の労働市場と経済への影響について、重要な示唆を与えています。

人手不足が賃上げを後押し

内田副総裁は、人手不足感が今後も続くという認識を強調しました。少子高齢化が深刻化する中で、労働力不足はますます顕著になり、企業は賃上げを通じて人材確保を迫られる状況が継続すると見ています。この人手不足感こそが、近年の積極的な賃金・価格設定行動の流れを途切れさせない、最も重要な要因であると指摘しました。

米国の関税政策が日本経済に与える影響

米国との関税交渉においては、トランプ米大統領が日本との間で相互関税15%の合意に至りました。内田副総裁は、この関税政策が日本経済に与える影響について、交渉の進展度合いが重要であると述べています。交渉が円滑に進めば、人手不足感が賃上げを後押しし、経済の活性化につながる可能性があります。

金融政策の課題と今後の展望

賃上げの加速は、企業の収益向上や消費の拡大につながり、日本経済の持続的な成長を支える原動力となることが期待されます。しかし、賃上げが実現するためには、企業の生産性向上や、労働市場の流動性向上といった課題に取り組む必要があります。

日銀は、賃上げ動向を注視しつつ、物価の安定と持続的な経済成長の両立を目指して、適切な金融政策を運営していく方針です。今後の金融政策は、賃上げの状況や、米国の関税政策の動向、そして世界経済の状況などを総合的に考慮して決定されることになります。

まとめ

内田副総裁の発言は、日本の労働市場と金融政策の将来について、重要な示唆を与えました。人手不足を背景とした賃上げの加速は、日本経済の成長を支える可能性を秘めていますが、同時に、企業の生産性向上や労働市場の改革といった課題への取り組みも不可欠です。日銀は、これらの課題を克服し、持続的な経済成長を実現するために、適切な金融政策を運営していくことが求められます。

おすすめ
おすすめ