経済安全保障法が成立!金融インフラが「政府指定」される可能性とは?金融業界への影響と今後の展望

2025-05-30
経済安全保障法が成立!金融インフラが「政府指定」される可能性とは?金融業界への影響と今後の展望
ビジネス+IT

2024年5月17日に公布された「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」(以下、経済安全保障法)は、日本の経済安全保障体制を大きく揺るがす内容となっています。本稿では、この法案成立の背景、金融インフラへの影響、そして今後の金融業界が取るべき戦略について解説します。

経済安全保障法の成立経緯と概要

経済安全保障法は、2023年2月の政府経済安全保障推進会議の有識者会議立ち上げを皮切りに、その必要性が議論されてきました。その後、10回にわたる議論を経て2024年1月に最終とりまとめが提出され、ついに国会で可決・成立しました。

この法律の目的は、半導体やエネルギー資源など、経済活動に不可欠な重要物資や情報が、敵対勢力による攻撃や支配を受けるリスクを低減し、国家の安全保障を確保することにあります。具体的には、重要経済安保情報の定義、保護措置、情報共有の促進などを定めています。

金融インフラが「政府指定」される可能性とは?

経済安全保障法における「重要経済安保情報」の定義は非常に広範であり、金融インフラもその対象となり得ます。金融システムは、経済活動の基盤であり、その機能が停止すれば、国家経済全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、金融インフラの保護は、経済安全保障において極めて重要な課題となります。

経済安全保障法に基づき、政府は金融インフラを「重要インフラ」として指定し、サイバー攻撃やテロなどからの防御体制の強化を求める可能性があります。金融機関は、自社の情報セキュリティ体制を強化するだけでなく、政府や関連機関との情報共有を積極的に行う必要が生じるでしょう。

金融業界への影響と対応

経済安全保障法の成立は、金融業界に以下のような影響を与えると考えられます。

  • 情報セキュリティ対策の強化: サイバー攻撃対策、データ保護対策など、情報セキュリティ体制の強化が不可欠となります。
  • サプライチェーンリスクの管理: 取引先や委託先など、サプライチェーン全体のリスクを評価し、適切な対策を講じる必要があります。
  • 政府との連携強化: 政府や関連機関との情報共有を積極的に行い、連携を強化することで、リスクへの対応能力を高めることができます。
  • コンプライアンス体制の強化: 経済安全保障法を遵守するためのコンプライアンス体制を構築し、継続的な見直しを行う必要があります。

今後の展望

経済安全保障法は、今後、具体的な運用ルールやガイドラインが整備されていくことが予想されます。金融業界は、これらの動向を注視し、自社の事業戦略やリスク管理体制に適切に対応していく必要があります。

また、経済安全保障の強化は、国際的な連携も不可欠です。日本は、同盟国や友好国との協力関係を強化し、グローバルな経済安全保障体制の構築に貢献していくことが求められます。

経済安全保障法は、金融業界にとって新たな挑戦であると同時に、競争力を高めるチャンスでもあります。情報セキュリティ対策の強化や政府との連携を通じて、より安全で信頼性の高い金融サービスを提供することで、社会への貢献を目指していくことが重要です。

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