住宅価格高騰が金融の安定を脅かす? 韓国中銀総裁が警戒する背景と今後の金融政策
2025-07-01

ロイター
住宅価格高騰、金融安定リスクへの懸念が高まる
韓国銀行(中央銀行)の李昌ヨン総裁は、ポルトガル・シントラで開催中の欧州中央銀行(ECB)フォーラムのパネル討論会において、金融緩和政策を継続しながらも、住宅価格の高騰がもたらす金融安定リスクへの警戒感を表明しました。住宅価格の急激な上昇は、経済全体の安定を揺るがす潜在的な要因となり得るため、韓国中銀は慎重な姿勢を崩していません。
金融緩和の継続と金融安定リスクの狭間
世界的なインフレの抑制と景気回復のため、多くの国々が金融緩和政策を続けています。しかし、その一方で、住宅市場における過熱感も顕著になっています。低金利環境が続いていることが、住宅ローン需要を刺激し、住宅価格を押し上げているのが現状です。李昌ヨン総裁は、この状況が金融システム全体に悪影響を及ぼす可能性を指摘しており、特に以下のようなリスクを懸念しています。
- 過剰なレバレッジ: 住宅価格の上昇に伴い、住宅ローンを利用して過剰なレバレッジを取る人が増える可能性があります。
- 不動産バブルの発生: 住宅価格が実体経済を伴わずに上昇し、バブルが発生するリスクがあります。
- 金融機関の健全性: 不動産価格の下落や債務不履行が増加した場合、金融機関の健全性が損なわれる可能性があります。
韓国中銀の今後の金融政策
金融緩和の継続と金融安定リスクへの対応という、難しい舵取りを迫られている韓国中銀です。李昌ヨン総裁の発言からは、金融緩和政策を急転させることはないものの、住宅市場の動向を注視し、必要に応じて金融政策を調整する姿勢がうかがえます。具体的には、以下のような対策が考えられます。
- マクロプルーデンス政策の強化: 住宅ローン規制を強化し、過剰なレバレッジを抑制します。
- 金利政策の段階的な正常化: 将来的には、金利の引き上げを検討し、住宅市場の過熱感を緩和します。
- 住宅市場のモニタリング強化: 住宅価格の動向や住宅ローン残高などを注意深くモニタリングし、早期に問題が発生した場合に対応します。
まとめ:今後の展望
住宅価格の高騰は、単なる不動産市場の問題にとどまらず、金融システム全体の安定を脅かす潜在的なリスクです。韓国中銀は、金融緩和政策を維持しながらも、金融安定リスクへの警戒を怠らず、適切な政策対応を行うことが求められます。今後の金融政策の動向は、韓国経済だけでなく、世界経済にも大きな影響を与える可能性があります。