ADHD治療薬、心臓への影響はご心配なく? 最新研究で血圧への影響がわずかであることが判明
2025-05-07

ケアネット
ADHD治療薬と心臓の健康:最新研究が示す安心感
注意欠如・多動症(ADHD)の治療薬が心臓に悪影響を及ぼすのではないかという懸念は、患者やその家族にとって大きな悩みです。しかし、最新の研究結果が、そのような懸念を和らげる可能性を示唆しています。
英サウサンプトン大学小児・青少年精神医学部門のSamuele Cortese氏らが実施した、大規模なシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスでは、ADHD治療薬が収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、脈拍に及ぼす影響を詳細に分析しました。
研究デザインと方法
この研究では、ADHD治療薬に関する既存の研究データを網羅的に収集し、様々な薬剤の効果を比較検討しました。ネットワークメタアナリシスという高度な統計手法を用いることで、直接比較されていない薬剤間でも間接的に効果を推定することが可能になりました。
研究結果:わずかな影響
研究の結果、ADHD治療薬は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍に、統計的に有意なほど大きな影響を与えることは確認されませんでした。つまり、ADHD治療薬の使用が、心臓の健康を著しく損なうリスクは低いと考えられます。
重要なポイント
- ADHD治療薬は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍にわずかな影響しか与えない。
- 大規模なデータ分析に基づいた信頼性の高い研究結果である。
- ADHD治療薬の使用を必要とする患者や家族にとって、安心感を与える情報となる。
今後の展望
今回の研究は、ADHD治療薬と心臓の健康に関する重要な情報を提示しましたが、さらなる研究が必要です。特に、長期的な影響や、特定の患者群(例えば、既存の心臓疾患を持つ患者)に対する影響については、今後の調査が期待されます。
この研究結果は、「The Lancet」誌に掲載され、医学界からも注目を集めています。
ADHD治療は、患者の生活の質を向上させるために不可欠です。今回の研究結果を踏まえ、安心して治療に取り組むことができるよう願っています。