猛暑が引き起こす健康リスク:熱中症の7倍もの「隠れた死」とは?専門家が警鐘
2025-05-16

毎日新聞デジタル
猛暑がもたらす深刻な健康リスク:熱中症だけではない「隠れた死」の脅威
地球温暖化の影響により、年々厳しさを増す日本の夏。気温上昇は、私たちの心臓や肺、そして精神に大きな負担をかけ、思わぬ形で命を奪うことがあります。熱中症は広く知られていますが、それ以外に、暑さによって引き起こされる死亡例は、因果関係が特定しにくいため「隠れた死」と呼ばれ、深刻な問題となっています。
東京大学大学院の橋爪真弘教授(国際保健政策学)は、気候変動が健康に与える影響について長年研究を行っています。その研究結果によると、暑さに関連する死亡者数は、熱中症の死亡者数の実に7倍もの数に達すると警告しています。これは、私たちが想像する以上に深刻な状況であることを示唆しています。
「隠れた死」とは?暑さで悪化する病気とリスク
「隠れた死」とは、暑さによって悪化し、最終的に死亡に至るものの、直接的な原因が熱中症として特定されないケースを指します。具体的には、以下のような病気やリスクが挙げられます。
- 心血管疾患:高温は心臓に負担をかけ、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。特に高齢者や持病を持つ方は注意が必要です。
- 呼吸器疾患:大気汚染と高温が重なると、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患が悪化しやすくなります。
- 精神疾患:暑さは精神的なストレスを増加させ、うつ病や不安障害などの精神疾患を悪化させる可能性があります。
- 脱水症状:適切な水分補給を怠ると、脱水症状を引き起こし、様々な健康問題につながります。
専門家が警鐘:暑さ対策の重要性と今後の課題
橋爪教授は、「熱中症対策だけでなく、暑さによる健康影響全般への対策が不可欠だ」と強調しています。具体的には、以下のような対策が求められます。
- 暑さを避ける行動:エアコンの使用や日中の外出を控えるなど、暑さを避ける行動を徹底しましょう。
- 水分補給:こまめな水分補給を心がけ、脱水症状を防ぎましょう。
- 体調管理:持病を持つ方は、医師と相談の上、暑さ対策を行いましょう。
- 社会的な対策:公共施設の適切な利用や、暑さ対策に関する情報提供など、社会全体での対策も重要です。
気候変動は今後も進行し、暑さはますます厳しくなることが予想されます。私たち一人ひとりが暑さのリスクを認識し、適切な対策を講じることで、「隠れた死」を防ぎ、健康で安全な夏を過ごせるように努めましょう。