新生児取り違え訴訟:東京都が控訴棄却、小池知事「多大な心痛をおかけした」謝罪
1958年に東京都立墨田産院(後に閉院)で新生児として取り違えられた江蔵智(えぐらさとし)さんを巡る訴訟において、東京地方裁判所が東京都に対し、実の親を調査するよう命じる判決を下しました。これを受け、小池百合子都知事は25日、控訴を断念する方針を表明し、江蔵さんへの謝罪と苦痛に対する深い理解を示しました。
江蔵さんは、新生児の頃に他児と取り違えられたことを知り、実の親を巡る長年の苦しみと葛藤を抱えてきました。東京地裁判決は、都に対し、実の親の特定に向けた調査を義務付けるものでした。小池知事は判決後、速やかに控訴を断念する決定に至りました。
「多大な心痛をおかけしたことを深くおわびする」と述べた小池知事は、江蔵さんが長年にわたり抱えてきた苦悩と、その心情を深く理解していることを強調しました。「育てのお母様もご高齢で、取り違えを生じさせた都として、責任を痛感している」と述べ、今後の調査への協力を表明しました。
この訴訟は、新生児取り違えという痛ましい事態に対する社会的な関心を高め、東京都の責任と対応が問われる形となりました。今回の控訴棄却と知事の謝罪は、江蔵さんへの和解への一歩となることが期待されます。
東京都は、今後、実の親の特定に向けた調査に全力を尽くし、江蔵さんの苦しみを少しでも和らげるための措置を講じていく方針です。この問題が、再発防止のための教訓となり、同様の悲劇が二度と起こらないよう、医療機関や行政機関による徹底的な見直しが求められています。
江蔵智さんの実の親を特定するための調査は、困難な道のりとなる可能性がありますが、東京都は、江蔵さんの心情を尊重し、誠意をもって対応していくことを約束しました。この問題の解決が、江蔵さんの心の平穏と、社会全体の信頼回復につながることを願います。